特殊車両通行許可申請を理解するために必要な知識と現状のすべて。

特殊車両通行許可”条件を守りたくないから許可とらない”はダメ!

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おそらくあなたは特殊車両通行許可を取得しているか、あるいは特殊車両通行許可に関して調べていくうちに、許可のシステムには”条件”というものが存在するんだということに気付いたのかもしれません。

ここ数年で特殊車両通行許可に関する取り締まりは本当に厳しくなりました。また、企業側からすればコンプライアンスの観点から仮に取り締まりの可能性は少なくても取得することが望ましいと考えることも増えたようです。

しかし、いざ許可を取ろうとしても条件が付けられるのであればそもそも許可を取らないほうがいいと考える事業所も少なくないようです。ここでは、ざっくりと条件の概要をチェックしてみましょう。

 

アイコン チェックこのページで条件の概要を理解したら、できれば各条件の意味合いを覚えてもらえればさらに理解が深まります。各条件の意味合いについては

【特殊車両通行許可の条件】誘導車・徐行・連行・併走とは?

を読んでください。

 

条件には重さと大きさに関するものがある

重さに関する条件

重さに関しては道路への負担を考え、保全の目的で条件を付けられます。現在の道路は昭和40年代ころに舗装されたものが多く、その多くは老朽化が進み20トンを超える特殊車両に関してはほぼ全て条件が付けられると考えてください。

条件は一般的にA,B,C,Dとなっていて、Aが軽くてDが重い条件です。しかし、最近の傾向から言ってA条件のことはまずないと思ってください。

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A:徐行等の特別の条件は付さない。

通常の走行が可能です。

ですが、特殊車両という性質上、よほどのことがない限り条件が付けられないということはありません。

 

B:徐行及び連行禁止を条件とする。

特殊車両が縦列をなして橋梁等の1箇所に集中すると橋梁等に大きな荷重がかかるため、連行は禁止、かつ徐行での通行となります。

経験上、B条件もほとんどありません。実務運営上はC条件からになるのです。運送会社さんであればできる限り積載物を積み込みたいというのが本音でしょう。

また、仮に積載物の重量を軽く申請しても、2年間の許可期間中の運用を考えるとフル積載した状態での申請をするべきです。軽めに申請してもC条件以上が付されるのがオチです。

 

C:徐行、連行禁止及び車両の前後に誘導車を配置することを条件とする。

橋梁等の同一径間内に当該車両のみを通行させる必要があります。

車両の前後に誘導車を配置し、車線上から他の車両を排除したうえでの徐行通行となります。

実務上は現実的にC条件からになりますが、ここから一気に条件が厳しくなるのです。2台以上連なって運行すると橋や基盤の弱い道路は損壊の可能性があるので条件が付けられるのですが、さらに誘導車まで義務付けられます。

ここで普通の感覚であれば「誘導者までつけなくちゃならないの?」と言いたくもなるのが人情です。実際に特殊車両の中でも誘導車を付けているところはまれですし、運送会社さんによってはすべてに誘導車を付ければ業務に影響が出てくるところがほとんどでしょう。

 

 

D:徐行、連行禁止及び車両の前後に誘導車を配置し、かつ2車線内に他車が通行しない状態で、通行することを条件とする。

橋梁等の同一径間内で、当該車線上のみならず隣接車線までも他の交通を排除する必要があります。

車両の前後に誘導車を配置し、当該車線上及び隣接の車線上の車両を排除したうえでの徐行通行となります。

また、通行条件がDとなっている車両は、夜間通行(午後9時から午前6時まで)となります。

 

最も厳しい条件がこのD条件です。つまり「その特殊車両はめちゃめちゃ重いから、橋とかではほかの車はいっしょにさせないでくれ」というものです。

これに関しては誘導車にもそれなりの経験が必要になってきますし、通常の誘導車では対応しきれないこともあります。

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寸法に関する条件

A:徐行等の特別の条件は付さない。

通常の走行が可能です。ですが実際には申請を出す段階で条件が付かないことはほぼないといえます。

 

B:徐行を条件とする。

曲線部の通行や高さの関係でトンネルの中央を通行する必要がある場合などに、徐行での通行となります。

重さは橋や基盤の弱い道路に対する保全の目的に条件を付けるのですが、大きさに関しては交通事故などの安全面に対する配慮で付けられます。

 

C:徐行及び車両の前後に誘導車を配置することを条件とする。

曲線部の通行やトンネル等を通行する際には、徐行し、かつ前後に誘導車をつけて安全を確認しながらの通行となります。

また、通行条件がCで、車両の幅が3mを超える場合は、夜間通行(午後9時から午前6時まで)となります。

実際の運用上はこの条件になることがほとんどです。

 

条件が厳しすぎると考えている場合…無許可通行の危険

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ここまで条件が厳しいと、「それじゃあ許可を取らずに通行したほうがいいんじゃないか」と思うこともあるかもしれません。人情としてはそう思うことも仕方ないと思います。

しかし、許可はとらずにいれば無許可通行という法律違反です。仮に許可を取って条件に違反しても条件違反といって、いずれにしても法律違反です。

 

条件違反<無許可運行?

ここは言葉を選ばなければいけない部分ではありますが、結局どちらを取るにしてもどこかに違反状態があるのが実態だとしたら、許可をとり、そのうえでの条件違反よりも無許可通行ほうが重い違反なんだと考えるのが通常でしょう。

つまり、取り締まりをするのであれば、まずは無許可通行から取り締まりをして、許可の取得が世間一般的に周知されてきたら条件違反を取り締まるというのが行政の姿勢です。

もちろん重量が40トン近くになるような超重量の車両ではしっかりと条件を守ることが必要で、そのような場合は条件違反も取り締まりの原因となります。ただ、これにしても無許可でいるほうがより違反の度合いは大きいのです。

 

条件は守らなくていいといっているわけではないのですが、現在(2015年2月)のところ、条件違反を主たる目的で取り締まりをする、という段階ではないようですから、まずは無許可状態を解消し、しっかりと許可を取ることが必要でしょう。

許可を取ると条件が付けられるから許可を取らない、という流れになるのは行政庁としてももっとも避けるべきことだと思うので、不安であれば専門家に相談し、早めに全体像を把握しましょう。

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