おそらくあなたは特殊車両をあなたの企業で扱っていて、うすうす「特殊車両を通行させるには何かしら許可が必要なんじゃないか?」と思っているのかもしれません。
あるいは許可が必要なことは理解しているが、取り締まりには一度もあったことがないし、まわりの会社もとっていないようだからいっそのこと見て無ふりをしてしまっているのかもしれません。
実際に許可が必要かどうかは
特車両長通行許可とは?だれでも3分で超絶簡単に理解できるサイト
を参考にしてほしいのですが、結論から言えばあなたの車両が特殊車両に該当すれば許可なしで通行させれば法律違反ということになります。
Contents
なぜほとんどの運送会社は許可を取っていないのか?
まだ認知され始めた許可
あなたが知ろうとしている許可は、特殊車両通行許可と言って、つまり基準を超えた大型車が道路を通るには許可が必要だ、というものです。
この許可は国土交通省の管轄下にしかれていて、いわゆる道路の保全と安全確保を目的としたものです。
大型車は一度に何台も基盤の弱い道路を通るとひび割れを起こしたり、轍ができたりしてあっという間に使い物にならなくなります。また、幅や長さの基準を超えた車がじゃんじゃん横行したら交通事故を誘発してしまいます。そのため基準を超えた車が通行するには許可が必要なのです。
しかし、実際に取り締まりがあって警告や処分があったなんて話は、ここ5年くらいよりも前はほとんどききませんでした。つまり実態として運用されていなかったのです。
ここ数年で存在感を増した許可
では、なぜここ数年で急に取り締まりや処分の話を聞くようになったのでしょうか?
もちろんオリンピックの影響が強いことは言うまでもありません。オリンピックが近づいているため国全体で安全と法令順守を徹底しようという流れです。すでに施行されている許可制度はしっかり運用しようという流れになるのは十分に理解できます。
しかし、それよりも実質的な道路の保全という意味合いのほうが強いというのが専門家の統一した意見のようです。
現在の道路は昭和40年代~50年代の高度経済成長の時代に舗装されたものが多く、それらの道路は年数がたつにつれて基盤が弱くなり、許可制度をしっかりと運用しなければいけなくなった背景もあるのです。
今までが”赤信号をみんなで渡っていた状態”だった?
そこで高速道路のインターで取り締まりを始めた結果、少しずつ特殊車両通行許可の存在が知られるようになったのですが、運送会社の中にはあまりにも寝耳に水だったため、本当に取らなければいけないのかということに半信半疑で「実は都市伝説なんじゃないか」と考えている人もいるくらいです。
しかし、法律家の立場からすれば許可はとらずにいれば法律違反なので、あなたの会社が特殊車両を扱っているのであればいつかはとらなければなりません。
特殊車両通行許可の制度の罰則
では、実際に特殊車両を無許可で通行させるとどのような罰則があるのでしょうか?ここでは一覧で簡単に説明しようと思います。罰則は、ざっくり分類すると5個に別れます
2トンネル・橋などに関する違反
3幅・長さ・重さに関する違反
4許可証の不携帯の違反
5両罰規定
これらの罰則規定はきちんと法律で定められているものですので「たら・れば」のはなしはナンセンスです。いつ罰則の処分があるかもしれないし、ないかもしれません。
ですが、あなたが特殊車両を扱っているのであれば、知識としてしっかりと押さえておく必要があります。
1.一般的制限値に関する違反
法令で定められている一般制限値(幅・高さ・長さ・重量等)を超える車両を無許可で通行させた者、または許可内容もしくは許可条件に違反して通行させた者には、30万円以下の罰金が科せられます。
また、道路管理者の措置命令に違反した者に対しては、6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられます。
2.トンネル、橋等の制限に関する違反
道路標識によって通行を禁止又は制限しているトンネル、橋、高架の道路等で、その道路標識に表示されている制限値を超える車両を無許可で通行させた者、又は許可内容や許可条件に違反して通行させた者に対しては、6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられます。
1と2がいわゆる無許可通行の罰則です。是正するにはなるべく早く許可を申請し、許可を取らなければなりません。
3.幅等の個別的制限に関する違反
幅等の個別的制限基準に対する措置命令に違反して車両を通行させた者には、20万円以下の罰金が科せられます。
仮に許可を取ったとしても、幅や長さ、重さを許可申請と違う状態で通行させた場合はこの罰則が適用されます。
4.特殊車両通行許可証の備付け義務違反
特殊車両の通行許可証を車両に備え付けずに通行していた者には、30万円以下の罰金が科せられます。
許可を取れれば許可証が発行されますが、これは車両に常に携帯していなければなりません。かならず運転手のわかるところに携帯しておきましょう。
5.両罰規定
法人の代表者又は法人もしくは人の使用人、その他の従業者が上記1~4の違反行為をしたときは、違反行為を行った者に罰則が科せられるほか、その法人又は人に対しても同様の罰則が科せられます。
但し、違反行為を防止するため、業務に対し相当の注意及び監督が尽くされたことの証明があったときは、その法人又は人については免責されます。
これはつまり、「運転手が勝手にやったことだから自分は知らない」という言い訳はできないということです。許可を取るには会社名や個人名を明記するのですが、その会社・個人も運転手同様に処分されるということです。
まとめ…不安であれば、まずは専門家に相談しよう
いかがでしょうか?いきなりこの文章を読んだ人からすれば背筋が凍った人もいるでしょうし、「それでもおれは許可はとらない」という人もいると思います。
許可を取る・とらないは私がどうこう言う問題ではありませんが、少なくとも運送業・建設業を営むからにはかならず持っておいてほしい知識であることは事実です。
これは私の個人的な意見なので参考程度にとどめておいてほしいのですが、現時点(2015年2月)の段階では、いきなり処分が下されるという制度ではありません。無許可の場合はまずは指導が入り、是正されない場合に処分が下される、というものです。
不安だったり、どうしていいかわからない、そもそも特殊車両なのかがわからないという場合はご自分で抱え込まずに専門家に相談しましょう。
一般的に、特殊車両通行許可の専門家は行政書士です。私の事務所に相談してくれても大丈夫です。もちろん相談は無料です。遠慮なく頼ってください。